なぜ紙の手帖なのですか?
1 いつまでやるの?
みわたす手帖の開発をはじめた頃、友人のプログラマーからは「手帖1つに、いつまで、こだわっているのですか?」と不思議がられました。ライバルの経営者からは「現代は携帯の時代、あなたは2周遅れのランナーだね」と笑われました。手帖売場が、どこでも縮小されていることを知らなかったわけではありません。みわたす手帖が完成したときに教えられた、システム手帖の会社の創業者Aさんの成功と挫折は、人ごとではありませんでした。
2 心の砦
みわたす手帖は、自分の言葉で、自分のことを書き記すもの。自分を信じ、自分を守る心の砦です。紙に書かれた文字は、デジタルデータのようなコード変換を必要としません。改竄されたり、ウィルスに感染したりすることもありません。日本語、ハングル語、中国語、英語、フランス語、縦書き・横書き・斜書き、左からも右からも書けます。暗号、記号、アイコン、イラスト、なんでもかまいません。いつでも思いのままに書いたり読んだりできます。人と手帖との間には、ほとんどなにも介在させません。
3 歴史がある
紙という素材には、人の手で取り扱いやすい要素と、できごとについての情報化の歴史が詰まっています。印刷されたものは、束ねれば思想として人を動かす力になります。バラバラにすれば枠組みのない場所で、大きな作業を可能にします。紙は木の分身。木が太陽の光を求めて成長するように、紙に書くと人は成長し、歴史を刻みはじめます。言葉を文字にするとき、なにに書きたいのか、書いたものをなんで見たいのかを考えると、そこにはいつも紙がありました。この思いから離れない一番の方法が、紙の手帖を作ることです。
4 めざめたら朝
紙に書いて閉じてしまえば、どのように辛く悲しいことでも、必要なときまで忘れていられる? しかし、それでは、次に見ることがストレスになります。書いた瞬間に、そこで問題解決ができれば? みわたす手帖は、人が過去から背負ってきた重い荷物を降ろし、中身を重さのない要素に変え、未来にその本質を再生させる技術を持っています。めざめたら朝。そのページのどこかにこれから先、どうやればいいのかを示唆するなにかが秘められています。去っていった昨日を呼び戻し、新しい生命を吹き込むと、そこには、本当の未来があるはずです。
5 書きたいことは
せっかくの人生、1日、1週間、1ヵ月、1年、そして一生を、働く時間だけで埋めて良いのでしょうか? 仕事はた ュさんある大切なことの1つ。夫の健康も、妻の仕事も、子どもの将来も、友だちとテニスをする時間も、お医者さんに行く日も、保険に入ることも、相続のことも、それぞれ大切な時間のできごとです。将来のお金、お薬の時間・量・期間、実家の両親のことなど書きたいことはたくさんあるはずです。
6 簡単に情報化できる
一瞬から無限までの時間を、周期の概念を使って2次元化すると、1つの形として円が生まれます。円を使いやすいように直線に変えて文字や絵を添えると、特別の知識や設備を使わずに、人として動くために必要な情報が生まれます。その情報を自由にデザインし、編集できるものにしたのがみわたす手帖です。みわたす手帖は、メモだけで入力・編集・出力を済ませられるコンピュータなしの情報デザインシステムです。
7
バーチャルな世界には、すぐに他人が忍び寄ってきます。紙の手帖は、だれにも見せないで済む、自分一人で創る世界です。忙しい時間、強い力に支配されている毎日、自分の位置を失わないことは困難です。みわたす手帖は、バーチャルな世界に飲み込まれないように、自分を見失わないためのツールです。
8
何万光年先のことは、バーチャルでは描けません。しかしリアルには見えません。しかし、みわたす手帖があれば簡単です。みわたす手帖は、人生とプロジェクトと社会のタイムデザインシステムです。いつでも、どこでも、だれでも、どんな世界にでも、想うがままにワープできます。みわたす手帖には、すべての一人ひとりのため、人生とプロジェクトと社会の成功と幸せを求めるタイムデザインの技術が詰め込まれています。
9 いざとなれば
たかが手帖、一人で作って、一人で使うこともできます。できないことは人に書いてもらうことだけ? 材料は紙とインキ。たいした費用もかかりません。いつか自分で手渡せなくなる日が来ても、だれかに引き継いでもらえます。これが紙という素材、システム手帖という綴じるもバラすも自由な形の取り柄です。